日本の国会議員は「くじ引き」で選んだほうがいい⁉️一冊の小説が示した方向性
ーー近未来の日本政界の姿を描いた実験的な小説です。「国民議員」がランダムに選ばれ、首相が公選される「直接民主制」になっています。
すでに憲法が改正されて国会は解散、下院と上院からなる「国民議会」ができています。議会を構成する「国民議員」は、20歳以上の国民から無作為に計1000人が選出されるという、そんな体制が動き出しているところから物語は始まります。
僕自身、「民主主義とは何だ」とずっと考えてきました。世界中の国々で民主主義は、議会制民主主義の形で実現されていますよね。議会制民主主義は民主主義の一形態にすぎないのに民主主義の最終形態のように捉えられ、その枠組みの中でしか議論されていません。古代のギリシャ・アテナイには完全ではなかったにしろ、直接民主制がありました。ごく最近では「e-デモクラシー」(IT技術を活用した市民参加の民主政治システム)の考え方も出ています。
小説の構想は、コロナ禍をきっかけに始まりました。あれで、人々がリモートでも十分に活動できることが証明されましたから。国政だって完全オンラインですべてをオープンにした形でやれるようになるかもしれない。
また、政治や政治家への批判は多くありますが、現実的なオルタナティブ(代案)がないのが現状です。僕は小説家なので、小説中のシミュレーションでやってみようと思いました。