80万円の“御殿灯籠”燃やし‥故人の霊見送る「精霊送り」減少も 有志が守る伝統【大分発】
静かに手を合わせる人たち。そしてその前には、豪華絢爛な飾りが…。
「御殿灯籠(ごてんとうろう)」と呼ばれるこの飾りは、木や紙で精巧に作られた寺社仏閣や五重塔などを、金や銀などで美しく装飾したものだ。
宇佐市長洲地区では初盆を迎えた家庭が作り、故人の霊を見送る「精霊送り」に使う。
96歳で亡くなった加藤オチヨさんの家では、初盆を迎えるにあたり、約80万円かけて作ったという。
孫・三浦真也さん:
私の祖母は90歳近くまで行商をやっていて、賑やかに送り出してあげようということで今回、御殿灯籠を出すに至った
お盆最終日の8月15日。
この御殿灯籠を外に出すと、親族などが担いで運んでいく。到着したのは墓地。ここで惜しげもなく、燃やしていく。
灯籠が炎に包まれていく様子を見守りながら、故人の冥福を祈っていた。
孫・三浦真也さん:
祖母も喜んでいるんじゃないかなと思っている。この御殿灯籠を出して本当に良かった
国の選択無形民俗文化財にも登録されている、この伝統行事。約40年前には70基ほど作られていたという灯籠だが、2022年は8基のみになった。核家族化などで、その数は減っている。
かつて地区に10軒以上あったという工房も、今では1軒のみとなっていて、伝統を守っていこうとする有志たちによって、何とか続けられているという状況だ。
灯籠を作るメンバー・加嶋洋喜さん:
喜ばれて非常にうれしい。資料とかを残して、後世に伝えていきたいなと思っている
故人の霊を供養する、お盆の伝統行事を守りたい。地域の人達の思いによって、この精霊送りが続けられている。
(テレビ大分)