Chill CARS|国産シューティングブレークを目指した、意欲作。
〈ホンダ〉のミドルクラスモデル《アコード》が1985年に3代目にフルモデルチェンジした際、突如登場した《アコード・エアロデッキ》は、その代表的な存在だ。
2代目《アコード》では、4ドアセダンと、3ドアハッチバックを設定していた。《エアロデッキ》は、そのハッチバックのポジションを受け継いでいたものの、切り立ったテールゲート、緩やかに下がる美しいロングルーフを持つ、ワゴン型フォルムが特徴だった。そして《エアロデッキ》が特異だったのは、これが3ドアだったこと。3ドアのワゴン型ボディは、欧州車の一部に「シューティングブレーク」というボディ形状があったが、国産車では珍しかった。さらに《エアロデッキ》は、低いボンネットと開閉式ヘッドランプを備え、全高も抑えられていたため、よりスポーティな印象だった。
だが4代目への移行時に、《エアロデッキ》は消滅。3ドアワゴンは、1世代限りのボディ形状となった。ミドルクラスの車種としては斬新すぎたため、購入層に受け入れられなかったのである。
もし《エアロデッキ》にリアドアがあれば、売れたかもしれない。しかし単なる5ドアハッチバックとして歴史に埋もれていただろう。《エアロデッキ》は、ボディ形状の概念を打ち破ろうとした意欲作として、語り継がれるはずだ。