「シアターコモンズ’23」が開催へ。リアルとリモートでのプログラムを展開
シアターコモンズは、演劇の「共有知」を活用し、社会の「共有地」を生み出すプロジェクト。日常生活や都市空間において「演劇をつかう」こと、すなわち演劇的な想像力によって、異質なものや複数の時間が交わり、特別な対話や発見をもたらす経験をアーティストとともに仕掛けていくというものだ。
今回のテーマは「Rebooting Touch
触覚の再起動」。小泉明郎やサエボーグ、佐藤朋子、中村佑子などのアーティストが参加し、実会場でのパフォーマンス、インスタレーション、ワークショップのほか、メタバースなど遠隔参加も可能なプログラムが展開される。
国家、共同体と個人の関係、人間の身体と感情の関係性を、現実と虚構を織り交ぜた実験的映像やパフォーマンスで探るアーティスト・小泉明郎。今回は、あいちトリエンナーレ2019で初演された『縛られたプロメテウス』(2019)、続編となるVR彫刻『解放されたプロメテウス』(2021)に続くプロメテウス3部作の最終章『火を運ぶプロメテウス』を発表する。
自らの皮膚の延長としてラテックス製のボディスーツを制作し装着するパフォーマンスを展開するアーティスト・サエボーグ。今回はシアターコモンズおよび世界演劇祭から委嘱を受けて、自らデザインする動物たちが共生するようなメタバース空間をプロデュース。世界中どこからでもアクセスできる遊戯空間「ソウルトピア」では、誰もが自在に動物に変身し、人間界とは異なるルールで戯れることができる。
土地や歴史の膨大なリサーチを新たなナラティブに再編成し、レクチャーパフォーマンスとして語り直す手法で活動しているアーティスト・佐藤朋子。2年連続でシアターコモンズからの委嘱を受け、港区エリアをフィールドとするリサーチを展開してきた。第3弾となる今回は、1960年代にオノ・ヨーコやジョン・ケージなど数々の伝説的パフォーマンスが行われていた草月アートセンターにまつわる歴史を召喚しながら、レクチャーパフォーマンスを創作する。
映画監督・作家の中村佑子は、繊細な揺らぎを触覚的に掴みとる独自の映像世界で高い評価を得ながら、新たな女性文学の最前線を切り拓いている。今回は、エッセイを書くように映像を綴るシネエッセイの手法で紡がれた言葉をもとに、映像表現と散文表現の新たな地平を開拓するワークショップを展開する。
そのほか、スザン・ボーハールト&ビアンカ・ファン・デル・スホート(アーティスト)や
スザンネ・ケネディ(演出家)、シュウ・ツェユー(アーティスト)、サオダット・イズマイロボ(アーティスト)などをゲストに迎えるオンライン上の「コモンズ・フォーラム」シリーズも展開。「孵化主義」やメタバース時代、東洋思想の「世界観」などについて議論する予定だ。