【今週見るべき展示会】 いまだ謎多き日本の前衛写真 池田亮司の新作、甲冑と現代アート
1930年代から40年代にかけて隆盛した日本の前衛写真。その後、太平洋戦争が本格化したため全盛期が短かったこと、またアマチュア写真家を主体にしたものであり写真史的に軽視されてきたことから、あまり大体的に研究・紹介されてこなかったムーブメントでもある。東京都写真美術館で開かれる『アヴァンガルド勃興 近代日本の前衛写真』は、歴史の闇に埋もれてきた前衛写真の本質をつまびらかにする企画展だ。出展作品は約170点。シュルリアリスムや抽象芸術といった海外の美術運動との関連、また大阪、名古屋、福岡、東京など地域で起こった実験的な写真家グループの活動の詳細、画家や詩人などとともに拓かれていったアヴァンギャルドな精神性にも光をあてる。
この十数年の間に「もの派」や「具体」といった日本の前衛芸術、前衛工芸の再評価が進み、また近年、欧州を中心に日本の気鋭の若手写真家が高い評価を得ている。「前衛」「ジャパニーズフォトグラフィー」といったトレンドを鑑みても、日本の「前衛写真」は今後さらにマーケットや批評のシーンも掘り下げて注目されるだろうテーマであり、その意味でも、いま見るべき価値のある展覧会と言える。
『アヴァンガルド勃興 近代日本の前衛写真』
会期:~8月21日(日)
会場:東京都写真美術館
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
開館時間:10:00~18:00(木・金曜は20:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:月曜(月曜が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
料金:一般 ¥700、学生 ¥560、高校・中学生・65歳以上 ¥350
電話:03(3280)0099