青森での体験をもとに新作を制作。荒木悠による初の美術館個展が十和田市現代美術館で開催へ
荒木は1985年生まれ。2007年ワシントン大学サム・フォックス視覚芸術学部美術学科彫刻専攻を卒業後、10年に東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修士課程を修了した。
これまで「恵比寿映像祭 2023
コミッション・プロジェクト」(東京都写真美術館)、ホームビデオ・プロジェクト「テールズアウト」(大阪中之島美術館、2022)、第31回マルセイユ国際映画祭(フランス、2021)、「Connections―海を越える憧れ、日本とフランスの150年」(ポーラ美術館、神奈川、2020)、「LE
SOUVENIR DU JAPON ニッポンノミヤゲ」(資生堂ギャラリー、東京、2019)、「The Island of the
Colorblind」(アートソンジェ・センター、韓国、2019)、第47回ロッテルダム国際映画祭(オランダ、2018)などの展覧会と映画祭で作品を発表してきた。
日本とアメリカを行き来しながら育った荒木は、二国間で揺れ動く自身のアイデンティティを出発点に作品を制作。世界や国内各地の様々な文化圏の間で起こる誤訳や誤解、オリジナルと複製の関係、「見る」「見られる」ことが生む眼差しの関わりあいなどを、映画、ドキュメンタリー、アニメーションといった映像作品として表現している。とくに近年の映像インスタレーションでは、歴史上の出来事と空想との狭間に差異を見出し、再現・再演・再生といった表現手法で探究している。
荒木にとって美術館での初個展となる本展は、現地での作家の体験に基づき制作される新作を中心に構成。荒木は2年半かけて青森県内を調査し、伝統工芸や風俗といった人々の営み、近代史の出来事、地形を変える大きな自然現象が重なり生み出された現代の青森の姿を独自の目線で解釈するという。