アマ三段の次はプロ四段、駆け足出世の藤井聡太竜王は免状署名も「先手番」所望
藤井竜王が最年少でプロ入りを決めたのは2016年9月のことだった。加藤一二三九段の記録を塗り替え、14歳2か月の中学生棋士が誕生し、そこから歴代1位の29連勝を果たし、将棋ブームを巻き起こした。プロ入りから5年後の2021年に竜王を獲得して最年少四冠となった藤井竜王。棋界の最高位に就いたことで、アマチュア免状に署名を入れる立場になった。「上達の励みにしていただけたらうれしいです」と話す。
アマチュア免状に藤井竜王の署名が入るようになってから、免状申請者は増えている。藤井竜王は東京・千駄ヶ谷の将棋会館で、一度で200枚ほどの免状に署名している。筆を短く持って、ほとんど休憩することなく黙々と署名していく。免状は、日本将棋連盟の佐藤康光会長、渡辺明名人、藤井竜王の署名が入る。期間限定で、西山朋佳「初代白玲」や、谷川浩司「十七世名人」の追加署名が入ることもあり、将棋愛好家の心をくすぐっている。
藤井竜王が署名する筆の速度は、日に日に速くなり、字もうまくなっている。免状署名の際、筆を止めた藤井竜王は「免状署名は『先手番』がいいです」と話した。これはどういうことか。将棋会館によく顔を出している渡辺名人は、こまめに免状に署名していて、藤井竜王は渡辺名人の次に署名することが多いのだ。「渡辺名人の署名の後は、失敗できないですから」とユーモアを交えて「手番」の意味を説明した。また、免状署名の際、指にばんそうこうを貼ってから筆を執るのが藤井竜王のスタイルだ。「筆マメ防止です。以前、大きな筆マメができてしまって、痛かったので」と笑った。