NFTはアートの何を変えるのか?表参道で現代アートの展覧会開催
同展は、NFT(偽造・改竄不可能なデジタル証明書)を用いた芸術的実験に焦点を当て、「分有」「シミュラクラのアウラ」「超国家的権力」という3章で構成。美術館やギャラリーなどの場所・制度を前提とした近現代以降の作品の前提条件としての「所有・契約」、「制作」、「展示」に呼応し、20世紀の美術史、とくにコンセプチュアルアートのアイデアに連なるものとして、2014年以降の約10年間に制作されたNFTアートを定義するという。
出品作家は、ダミアン・ハースト、ラファエル・ローゼンダール、ルー・ヤン、ロバート・アリス、レア・メイヤース、ジェネラティブマスクス、チームラボ、ソル・ルウィット、セス・ジーゲローブ、森万里子、藤幡正樹、施井泰平、鎌谷徹太郎。企画を高橋洋介、監修を飯田高誉が担当する。
2020年代の始まりに起きた空前のNFTアートバブルは、仮想通貨の盛り上がりとともに暴騰した後、あっという間に崩壊したとされる。芸術を投機的な金融商品に変えるものとも批判されるNFTだが、その開発当初の理念には、社会格差や経済など既存の規範を刷新するアナーキーさがあったはず。また、アートにおいては表現における解放をもたらし、新たな歴史を描き出すものになり得ると考えた者も少なくない。
オンラインとオフラインで展開されるこの展覧会と関連出版物を通して、NFTが生み出す新しい意味と価値のシステムについての問題を提起し、未曾有の情報環境において現代のアーティストが果たす役割を検証・再定義することになるかもしれない。