パンデミック以降の時代を考える展覧会@森美術館
新型コロナウイルス感染症の世界的拡大が起こり、生活や心境に大きな変化を与えた昨今。こうした状況下、現代アートを含むさまざまな芸術表現に改めて注目が集まっている。本展では、パンデミック以降の新しい時代をいかに生きるのか、心身ともに健康である「ウェルビーイング」とは何か、現代アートに込められた多様な視点を通して考えるという。
美術館ならではのリアルな空間での体験を重視し、インスタレーション、彫刻、映像、写真、絵画などさまざまな表現での作品が集う。本展タイトルでもある「地球がまわる音を聴く」など、想像力を掻き立てるようなインストラクションを集めたオノ・ヨーコの『グレープフルーツ』や、催眠術を用いて言語に頼った人間の認識の脆弱性を明らかにしながら、心の回復の可能性を考察する小泉明郎の新作映像、鑑賞する人に呼吸を整え瞑想する空間を与えるモンティエン・ブンマーのインスタレーションなど、16名による約140点の作品が公開。
自然と人間、個人と社会、家族、繰り返される日常、精神世界、生と死など、生や実存に結びつく主題の作品が、私たちに「よく生きること」の考察を促す。
「パンデミック以降をいかに生きるか?」という複雑で広大な問いに対し、作品たちに託された豊かな想像力を借りることで「生きることとは何か」という人間の本質についても考えたい。会期は11月6日(日)まで。
Text:Akane Naniwa