ノーマン・フォスターがデザインする〈カリモクケーススタディ〉の新境地。
建築家が、ある空間のために発想する家具。それが〈カリモクケーススタディ〉の一貫したテーマだ。実際に使う環境との関連から家具を捉えると、日常になじみ、一緒に暮らすのに快適なものが生まれる。そんな〈カリモクケーススタディ〉の新作〈NFコレクション〉を、フォスター+パートナーズを主宰するイギリス人建築家、ノーマン・フォスターが手がけた。
ノーマン・フォスターといえば数々の代表作がある現代建築の巨匠であり、家具のデザインにも定評のある多才な人物だ。今回の家具は、自身のプライベートレジデンス〈フォスター・リトリート〉のために開発されたものが原型になっている。ここで起きた化学反応は、世界的な注目を集めるに違いない。
〈NFコレクション〉の中心的存在である椅子《NF-DC01》は、丸みを帯びた木のフレームで全体を構成した。フレームはどの位置でもほぼ同じ太さを保ち、素材本来の優しさを印象づける。さらに目を引くのは、座面や背もたれの張地の周囲をフレームの内側に収めた特別な仕上げ。カリモク家具が工夫を凝らし、フレームの内部に溝をつくる手法を編み出した。
一方、バースツールは、背もたれつきの《NF-BS02》と座面のみの《NF-BS01》の2種類を揃えている。背もたれのあるタイプは後脚に角度をつけるなど、それぞれに完成度が高い。背もたれの後ろ側も、ダイニングチェア同様に張地を施してある。手で触れた時に柔らかく、見た目にも優美さのあるデザインだ。
ダイニングテーブル《NF-DT01》は天板の縁を丸くして、その曲線がコーナーの脚部へと自然に連なっている。こうした天板の造形は手間がかかり、仕上げが難しいため、近年は敬遠されがちだったらしい。そんな技術に新しい命を吹き込んだのだ。〈NFコレクション〉は、以上に加えてソファとラウンジチェアを含む計6点をラインアップしている。
〈フォスター・リトリート〉は、アメリカ東部の著名な避暑地であるマーサズ・ヴィニヤード島にあり、主にフォスター家のゲストや関係者が滞在する。外観はアメリカの地方の伝統的な納屋からインスピレーションを得たという建物だ。しかしフォスターは、その空間にふさわしい家具が市場に存在しないことに気づく。そこで彼らがコンタクトしたのがカリモク家具だった。何の前触れもなく〈カリモクケーススタディ〉宛にメールが届いたところから、プロジェクトが始まったという。