日本坂道学会会長・山野勝が選ぶ、 デザインの良い坂10選(港区編)。 副会長・タモリ撮影の写真も!
東京23区には名前が付いているものだけでも600箇所以上の坂がある。中でも、100箇所近くを有する港区は屈指の坂スポットだ。その港区から厳選した坂を紹介するわけだが、山野さんの考えるデザインの良い坂、”名坂”とはどういったものなのだろうか?
「僕とタモリさんの2人で構成している〈日本坂道学会〉では、1.勾配、2.湾曲、3.江戸情緒、4.坂の由緒の4つを名坂の条件としています。1.と2.は坂の形状に関して。勾配は急であるほど、湾曲はキツすぎない具体が良いです。3.は建物や樹木など坂の両脇に江戸の雰囲気が残っていること。最後に4.は、坂の名前の由来について。現在ある坂の大半は江戸時代に命名され、当時の町人たちが武家屋敷や寺社の位置を把握するための目印としてつけたものです。そのセンスや粋っぷりも評価に加えています」
以上を踏まえて、港区にある10箇所の坂を紹介。うち3箇所は、坂道写真家でもあるタモリさんの写真とともに解説する。六本木や西麻布など煌びやかなイメージの強い港区だが、かつては武家屋敷が多く置かれていたこともあり、一歩入れば閑静で情緒溢れる場所も多い。坂を通して、そんな港区の別の一面も窺い知ることができるはずだ。
このあたりが洞村と呼ばれていたことから命名。由緒はシンプルだが、その形状はかなり変わっている。〈東禅寺〉の細い裏道に位置し、短く勾配が急な〈洞坂〉は登っているだけで冒険心をくすぐる坂だ。
「初めて〈洞坂〉を見つけた時は、“まさかにこんな所に!”と驚きました。大通り沿いにあるのですが、ここに入っただけで別世界というか、急に江戸っぽくなるんですよね。わざわざ足を運びたくなる場所です」