文化勲章受章「明日こそはいい舞台を」 歌舞伎俳優、松本白鸚さん(80)
昭和21年に3歳で初舞台を踏んで以来、80年近い役者人生。笑顔を見せながら、「この栄誉は私一人では成し遂げられなかった」と諸先輩ら舞台関係者をはじめ、観客や家族らに感謝の言葉をつむいだ。
いちばん好きな役は、通算1160回演じてきた「勧進帳」の武蔵坊弁慶という。「笈(おい)を背負って、いちばん最後に金剛づえを片手に六方で(花道を)引っ込むが、自分の人生そのものや、弁慶の人生が入っているような気がする」
半世紀以上にわたって主演した「ラ・マンチャの男」など、ミュージカルでも活躍してきた。心に残るのは、市川染五郎時代の「心を繋ぐ6ペンス」。上演中にふくらはぎの筋肉が断裂しながらも、一日も休演せずに千秋楽を迎えた。
そして常に「今日こそは、明日こそはいい舞台を」という思いで舞台に立ってきた。「お客さまに喜んでいただけるようなお芝居を、死ぬまで続けていきたい」(水沼啓子)