マイケル・リンのインスタレーションが、〈メトロポリタン美術館〉のエスカレーターをジャック!
ニューヨークの〈メトロポリタン美術館〉一階中央のグレートホール。ホールと上階を繋ぐエスカレーターの両脇に描かれたのは、アーティストのマイケル・リンによるペインティング作品《ペンタクローム》。来館者はエスカレーターで運ばれながら、東洋の典雅な花々に包み込まれるような感覚を味わう。こんな「没入型アート」があったとは! 美術館の長い歴史の中でも、この壁でサイトスペシフィックな作品を制作したのは今回が初だとか。
巨大な絵画インスタレーションによって、公共スペースにあらたな概念や構造のあり方をもたらすアーティスト、マイケル・リン。台湾の伝統的なテキスタイルの模様やデザインにインスピレーションを得た作品で広く知られているが、今回制作した鮮やかな絵柄は、美術館が所蔵する2体の花器がモチーフだ。
高さ70cmほどの花器に描かれた小さな絵柄を拡大し、アメリカの都市で日常的に目に飛び込む「ワイルド・ポスティング」、つまりファッションやイベントなどの商業用ポスターをストリートの壁にベタベタと貼る手法によって制作した《ペンタクローム》。100年以上に渡り東洋美術、ことに中国の陶器を数限りなく紹介してきたこのグレートホールへ、マイケル・リンが捧げたオマージュなのである。
〈メトロポリタン美術館〉
1000 Fifth Ave., New York TEL (1)212 535 7710。作品が公開されるエスカレーターは、一階中央のグレートホールにある。10時~17時(金・土~21時)。水曜休。入場料30ドル。展示期間終了日は未定。