福島・郡山市開成館の復旧めど立たず 相次ぐ地震、被害拡大
開成館は1874(明治7)年に当時の地元の大工らが西洋風を模して建築した。木造3階建てで、郡山発展の礎となった安積開拓の拠点事務所が置かれ、76年には明治天皇の宿泊所にもなった。
県は1960年に重要文化財に指定して補修・復元し、国も2009年に近代化産業遺産に認定。年間約1万人が訪れ、「郡山の歴史にとって極めて重要な施設」(品川万里市長)といえる。
開成館は東日本大震災で天井などが損壊し、約5000万円をかけて修復。昨年2月の地震でも柱に亀裂が生じ、壁も一部が崩落した。
市はこの時に細かい調査をした結果、経年劣化による屋根の腐朽や雨漏り、シロアリによる食害などを確認。改修をするため、県と協議して22年度に実施設計をし、24年度の工事完了を目指していた。
しかし、今年3月の地震で、しっくいの内外壁に30カ所以上の亀裂やひび割れが生じたほか、1階の床にすき間ができるなど約300カ所で被害を確認したという。
市は改修方針を改めて確認するため、開会中の市議会6月定例会に再調査費2384万円の予算案を提出。品川市長は「開成館再開は市の懸案事項。これまでも改修、補修を重ねた経緯がある。今回の詳細調査で文化財的価値を見極めたい」と説明している。【根本太一】