多くの美術ファンが遠方から茨城へ、ゴッホやルノワール…隠れた名品群たち
1972年に、日動画廊を創立した長谷川仁・林子夫妻が笠間市に創設。竹林や紅葉が美しい庭のなかに、企画展示館、フランス館、パレット館がある。特に敷地の奥に控えるフランス館には、印象派からエコール・ド・パリの巨匠の名品までを常設展示。自然のなかに奥ゆかしく佇む美術館の隠れた名品に、カーンやソフィー・ルノワールも興味を示す。ゴッホやルノワール、ドガ、モネ、シャガール、フジタ……。西洋絵画の他に、日本の近・現代洋画、彫刻など3000点にのぼる収蔵品は見ごたえ十分。また、隣のパレット館では、画家たちの愛用したパレットを常時約230点展示。館内の壁に架けられたパレットコレクションは圧巻だ。
敷地の中ほどにある野外彫刻庭園では、日本の具象彫刻界を牽引する作家たちの作品が、グリーンのなかに溶け込む。入口前にある企画展示館では、年に数回企画展を開催。多くの美術ファンが遠方からも訪れる。秋の紅葉シーズンもぜひお薦めだ。
■エドガー・ドガ『舞台の袖の踊り子』
「ドガは油彩より、パステル」といわれることが多く、パステルを好む人が多い。制作された当時は質のいい何百色ものパステルが売られていたそうだ。特に、ここに収蔵されているドガの作品も発色がよく、チョークやぼかしのトーンで、やわらかな印象に仕上がっている。ドガはこの作品を制作するころには、視力がかなりおとろえていたという。膨大な習作が残されており、その努力が並々ならぬものであったことが計り知れる。
■フィンセント・ファン・ゴッホ『サン=レミの道』
ゴッホが晩年を過ごした南仏のサン・レミ・ド・プロヴァンスで描かれた作品。「陰は藍色を使い、視覚効果をねらい、厚塗りの筆のタッチでオリーブの木が揺れている様子を捉えている」と学芸員の塚野卓郎。ぺランは「小ぶりな作品だがグラフィックとコントラストに優れている。彼のビジョンははっきりしていて、大胆な技法がヴラマンクらフォーヴィスムの画家たちを深く刺激したことも理解できる」と語る。
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笠間日動美術館
場所:茨城県笠間市笠間978-4
TEL:0296-72-2160
開館時間: 9時30分~17時 ※入館は16時30分まで
休館日: 月 ※祝日の場合は開館、翌平日が休館に 年末年始
料金: 一般¥1,000
www.nichido-museum.or.jp
※休館日、開館時間、展示される作品は変更の可能性があります。訪問する場合は事前に公式サイトなどでご確認ください。