アートフェア東京2023で見るべきブースはどこ? 注目したい出展ギャラリーベスト6
本フェアにおいて最も参加者の目を引いたのは、15年ぶりの出展となる村上隆率いるKaikai Kiki
Galleryだろう。ギャラリーディレクター・當麻篤によると、「コロナ明け1発目となる同フェアにおいて、国内への発信も兼ねて出展する意義を見出した」という。
会場ではMr.が大きな存在感を放つほか、MADSAKIや、MADSAKI、大谷工作室、タカノ綾、ob、くらやえみ、細川雄太、Kasing
Lung、ナカザワショーコ、本秀康の作品が出展されている。
TARO NASU(東京・六本木)
80年代以降における国内外のコンセプチュアル・アーティストに注目するTARO
NASUのブースには、2021年に逝去したコンセプチュアル・アートの騎手、ローレンス・ウィナーの作品をはじめ、近年国内でも展覧会が実施され認知が高まるサイモン・フジワラ、田島美加、ライアン・ガンダーなど、現代アートを牽引する作家らに加え、新進の陶芸家・中井波花の作品がラインナップされている。とくに壁面に埋め込まれたライアン・ガンダーの作品には注目してほしい。
Gallery COMMON(東京・渋谷)
東京・渋谷を拠点とするGallery
COMMONのブースでは、国内外の作家による作品を展示。そのなかでもとくに目を引いたのは円形のキャンバスや周辺の壁面にも描かれたジェイソン・セイフの《Watch
the Lilies
Grow》(2022)だ。国内で正式にお披露目となるのは初だというセイフの作品は、自身の持つ中東系のルーツからペルシャ絨毯をモチーフに制作されたもの。作中に描かれている鳥は物事の「はじまり」を意味しており、今回日本での出展が決まったことも作家にとってははじまりのひとつと言えるのだろう。
WAITINGROOM(東京・神楽坂)
作家の世界観をブース全体でアピールしたWAITINGROOMでは、アーティスト・藤倉麻子によるCG映像作品を出展。現実世界のモチーフが、別の性格を帯びて独特な動きを繰り返している藤倉作品の世界観を、同フェアのためにつくられたタイルや芝生、水道管を用いて表現。参加者としても思わず引き込まれてしまう空間設計なのではないだろうか。
rin art association(群馬・高崎)
2010年群馬県高崎市にオープンした現代美術を扱うギャラリー・rin art
associationでは、写真表現を主な領域とする3作家の作品が展示されている。
ハンドスキャナーで撮影した写真を異なるかたちに変容させることで思考をうながす滝沢広の「trace」シリーズや、印画紙と乳剤のみでイメージをつくり、明るい部屋で感光を行いながら写真の物質性について追求した横田大輔の作品、写真の表面に彫刻を施す作品や、現像した写真を焼いたものを組みあわせて再構成する多和田有希の「THEGIRLWHOWASPLUGGEDIN」が絶妙なバランスで調和されている点が見どころだ。
STANDING PINE(愛知・名古屋)
愛知県名古屋市のギャラリー・STANDING
PINEは、国際的に高い評価を受けている海外のアーティストをアジアのアートシーンに紹介している。ブースには、マダガスカル出身のジョエル・アンドリアノメアリソアによるテキスタイル作品や、スイス出身のペ・ランによるキネティックアート作品が登場。モノクロで統一された空間構成が目を引いた。
ほかにも、B1FのLobby
Galleriesでは、国内外の美術商により出展された「Galleries」、昨今のアートシーンで注目すべき作家を個展形式で展示する「Projects」、百貨店や地方工芸団体の出展が主となる「Crossing」と3つのセクションで作品が紹介されている。同エリアは誰でも入ることができるため、国際フォーラムに立ち寄る際はぜひ覗いてみてはいかがだろうか。