焼失の乱歩館復興へ明治村で企画展 寄付金付き入場券販売
同展は、明治村で2月26日に始まる明治謎解きアトラクション「江戸川乱歩の不完全な事件帖~本格ミステリーの世界へようこそ~」(7月24日まで)の関連企画として開催される。乱歩(1894~1965年)が少年時代を名古屋市で過ごした明治・大正期に誕生した探偵小説とその広がり▽夏目漱石ら文豪たちの探偵小説▽愛知県蟹江市出身の医師で作家の小酒井不木との交流▽金城学院大・小松史生子教授のゼミ生による乱歩の名作15点のパネル紹介――などが展示される。
岩田準一を紹介するコーナーでは、焼け跡から見つかった岩田が師事した画家の竹久夢二風の作品が並ぶスケッチブックが初公開となる。草むらに咲く曼殊沙華(まんじゅしゃげ)に手をやり顔を覆う女性と、四つ葉のクローバーの両脇に「Kと二人で乃木坂のあたりで摘んで来た」「未(いま)だ青々としているのをそのままハガキに貼りつけて山田(伊勢市)のHに贈った」と書かれた作品など、女性や裸婦、少年、草花など六十数点が収められている。
他に、岩田宛の乱歩や推理作家の横溝正史、小酒井らからの書簡▽火災を免れた乱歩愛用のベレー帽▽愛用万年筆▽原稿用紙▽新聞の切り抜き帳――なども展示。岩田と乱歩は、乱歩が鳥羽造船所に勤務時代に知り合い、その後、男色文献の収集のため全国の古書店を巡るなど、交流を重ねている。
今回の企画展準備のため、鳥羽市を訪れた明治村学芸員の長久智子さんは「どれも非常に面白い。新聞記事の切り抜きは、同時代の大衆や岩田が何に関心があったのかを知る貴重な資料。江戸川乱歩が東海地方と大いに関係があったことを知ってほしい。鳥羽の江戸川乱歩館の復興に役立ちたい」と話している。
明治村内の千早赤阪小学校講堂で開催される企画展は、入場料300円で、オリジナルポストカードが贈られる寄付金付き入場券は800円。明治村への入村料も別途必要。