西郷隆盛の息子らの「力強い」集合写真発見…西南戦争後の「復権の先駆けを象徴」
菊次郎は、隆盛と2番目の妻愛加那との間にできた長男。西南戦争で右脚を負傷して切断した後、外務省や台湾・宜蘭庁長などを経て、2代目の京都市長として、都市基盤の整備に尽力した。
寅太郎は、隆盛と3番目の妻イトとの間にできた長男。隆準は隆盛の弟、吉二郎の長男。
写真は縦約16センチ、横約11センチ。ワシントン公使館に赴任した菊次郎(当時24歳)や、ドイツ留学前に語学を学ぶために滞在していた寅太郎(同19歳)、隆準(同21歳)のほか、当時のワシントン駐在公使・九鬼隆一ら計5人が納まっている。
福岡県岡垣町在住で、菊次郎のひ孫にあたる諫山尚子さん(60)が、たんすにしまっていた史料の中から写真を3年前に発見。親交のある京都市の歴史研究家、原田良子さん(56)に鑑定を依頼した。他の史料と照らし合わせるなどして年代や人物を特定した。
原田さんによると、77年(明治10年)の西南戦争後、西郷家の復権運動を続けていた勝海舟や在京の薩摩出身者の働きによって、菊次郎らの洋行がかなったという。その後、勝らの活動が実り、89年(明治22年)の大日本帝国憲法発布に伴う大赦で、西郷の賊名が解かれて復権がかなった。
原田さんは「西郷家復権の先駆けを象徴する写真。隆盛の死を乗り越え、新しい時代を生きようとする3人の力強い姿が見てとれる」と話している。