バンドの個性 解き放て サウンドクリニックで関西代表3校に熱血指導
一音全集中
個人の課題の発見やバンド演奏全体の完成度を高めるため、リズム、アンサンブル、歌唱力、表現力の向上を目的にしたサウンドクリニック。緊張感が漂う中、各校のメンバーらは真剣な表情でレッスンに取り組んだ。
「指摘されたことをすべて吸収して全国大会につなげていきたい」。京都女子のバンドリーダーでキーボード担当の寒風澤采佳(さぶさわあやか)さん(17)は、原点に戻った奏法を心がけている。新型コロナウイルスの影響が続き全体練習がしにくいなか、セッションケーキ(各パートの音をコードでつなぎヘッドホンでミックスして聴く音声装置)を使った個人練習などに取り組んだ京都女子。顧問の森田ゆかり教諭(57)は「笑ったり、泣いたりした思いのたけをすべてステージにぶつけて」と励ます。
ボーカルと演奏陣とのバランスを取るよう指摘を受けた近畿情報高等専修学校。バンドリーダーでドラムの川尻慎さん(17)は「サウンド以外の各パートの動きに対する指摘には驚いた。本番に向けて一体感のある動きと雰囲気づくりに力を入れていきたい」と意気込む。コロナ禍のなか、中身の濃い〝集中型〟の練習に励んだメンバーらに、顧問の日野翔太教諭(31)は「部にとっては初の大舞台。『近畿情報ここにあり』という存在感を示してほしい」とエールを送る。
和歌山のバンドリーダーでボーカルの松村優月(ゆづき)さん(17)は「『演奏隊がバズーカ砲になって弾(ボーカル)を放って』という講師陣の言葉に衝撃を受けた」と振り返り、自分を盛り上げてくれる演奏陣の重要性を確認した。新型コロナの影響で、同校もメンバー全員がそろって演奏する機会をなかなか取れず、コミュニケーションを図るのに苦労したという。顧問の高橋昭仁(あきひと)教諭(44)は「得意のアンサンブルのよさを披露してくれるはず」と期待を寄せる。
本番に期待
大阪芸大の教員らは、個人指導も含め、熱心なレッスンを展開した。バンド全体での調和を心がけるようアドバイスする姿もみられた。
ボーカル担当の大原貴幸講師(38)は「各校とも歌声はパワフルだが、演奏とのリズムをしっかり確認して」と指導。ドラム担当の浅川ジュン講師(68)は「楽曲の流れをつくるためには互いに見合っての演奏を心がけることが大切」と指摘した。
個人の演奏技術に関し、ギター担当の仁子(にこ)孝史講師(39)は「チューニングはもちろん、目立つところと抑える部分をはっきりと」。メリハリをつけた演奏が大事と助言した。
全国8地区の大会を勝ち上がった15校が競い合うスニーカーエイジ。スニーカーエイジ実行委員会委員長でmiki music mirai(大阪市中央区)社長の戸田雄己(かつみ)さん(45)は「演奏力はもちろん、ボーカルが個性豊かな表現力を解き放ってくれると思う」と、レベルアップに期待を寄せる。
今大会でグランプリに輝いた高校が所属する地区には、来年の大会で出場枠が1つ増加される。「全国大会を目指して、挑戦を続ける軽音楽部の熱い思いにこたえたい」と戸田社長。部員たちの意欲向上につなげたい考えだ。
昨年は新型コロナの感染対策で一般指定席の座席数を制限したが、今年は制限を設けず販売する。栄冠はどの出場校に輝くか。〝音楽ファン〟の熱い視線が注がれている。(高橋義春)
京都女子
昭和59年に同好会として発足し、61年、部に昇格。モットーは「We love ありのままの自分」。メンバーは「全国大会では、会場のみんなに笑顔の花を咲かせたい」。演奏曲はSuperflyの「Beautiful」。
近畿情報高等専修学校
平成8年に創部。モットーは「楽しんだ先に夢がある」。50人の部員から選抜されたメンバー9人のほとんどが音楽の専門知識を学ぶ音楽情報コースに所属。「日本一をとるつもりで挑む」と気合十分。演奏曲はVaundyの「花占い」。
和歌山
創部は平成12年。バラエティーあふれる音楽を楽しむことを目指す。令和2年までの各地区ごとに優勝校が決まる関西大会ではグランプリを獲得。「協調性のあるステージを存分にみせたい」と意気込む。演奏曲は木村カエラの「dolphin」。
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会場はグランキューブ大阪(大阪市北区)、午後1時45分開演。一般指定席は1100円。販売は「イープラス」( https://eplus.jp/sneakerages/)のサイトで。大会の様子はユーチューブの「スニーカーエイジYouTubeチャンネル」と音楽アプリ「Pokekara」でライブ配信される。