ポンピドゥーセンターの傑作50点以上が初来日。キュビスム展開催
20世紀初頭、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックという2人の芸術家によって生み出されたキュビスムは、西洋美術史に大きな変革をもたらした美術運動だ。
その名称はブラックの風景画が「キューブ(立方体)」と評されたことに由来し、西洋絵画の伝統的な技法であった遠近法や陰影法による三次元的な空間表現から脱却し、幾何学的に平面化されたかたちによって画面を構成する試みは、絵画を現実の再現とみなすルネサンス以来の捉え方から解放した。抽象芸術、ダダ、シュルレアリスムといった多様な表現形式への道も開いたキュビスムは、現在に至る芸術の多様な展開に決定的な影響を及ぼしている。
日本でキュビスムをメインテーマに掲げる大規模展覧会はおよそ50年ぶりのこと。今回の展覧会では、50点以上の日本初出品作品を含む40名のアーティストの絵画、彫刻、素描、版画、映像、資料など約130点が来日する。
ピカソ12点、ブラック15点というまとまった数の作品からは、絶えず変化を続けながら展開した2人の画家によるスリリングなキュビスムの造形実験を追体験できる。ブラックの重要作である《大きな裸婦》、ポンピドゥーセンターの代表的なコレクションであるピカソの《肘掛け椅子に座る女性》も見逃せない。