小中男女の体力、過去最低 コロナ禍で低下に拍車
体力テストは、全国の国公私立計約3万校の児童生徒約200万人を対象に、今年4~7月にかけて実施した。テストの合計点(80点満点)は小5男子が52・3点(令和3年度52・5点)、女子が54・3点(同54・7点)。中2男子は40・9点(同41・1点)、女子が47・3点(同48・4点)でいずれも過去最低を記録した。
種目別では、小中男女いずれも50メートル走や20メートルシャトルランが低下。中2のみの調査項目になっている持久走では、男子(1500メートル)が前年度よりも3・7秒、女子(1千メートル)が5・7秒遅くなり、ともに過去最低だった。
スポーツ庁は、3年度に比べて子供たちの運動機会は増加しているものの「コロナ禍以前の水準には戻っていない」と指摘。マスク着用中の激しい運動の自粛なども体力低下の要因に考えられるという。
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スポーツ庁が23日に公表した令和4年度全国体力テストの結果からは、外遊びや運動を子供たちの生活にどう定着させるかが課題として浮き彫りになった。新型コロナウイルス禍で制限がある中、子供の肥満の割合は、小学5年の男女と中学2年の男子で過去最大。5年度から本格化する中学校の運動部活動の地域移行など、今後は家庭や地域で子供の運動機会確保に一層取り組む必要が出てくるが、地域・経済格差の懸念があり、課題は多そうだ。
子供の肥満の割合は小5男子が14・5%(3年度13・1%)、女子が10・0%(同8・8%)、中2男子が11・4%(同10・0%)、女子が7・5%(同7・1%)。いずれも前回から増加し、小5男女と中2男子は平成20年度の調査開始以降で最高を記録した。
ここ数回の調査で小中男女いずれの肥満割合も増加が続いている。体力低下や肥満増加の要因はコロナ禍だけではない。学習環境を含む情報通信技術(ICT)化の進展で、スマートフォンやタブレット端末に日常生活で触れることが多くなり、家庭によっては学習塾などの習い事を重視。子供の生活様式は大きく変化している。睡眠時間の短縮なども体力低下の要因に考慮する必要がある。
体力テストに協力した中京大スポーツ科学部の中野貴博教授は、学校だけではなく家庭や地域も、子供が運動する価値を再確認した上で「生活の中に運動が入り込んでいる構造が必要だ」と指摘している。
ただ、スポーツ庁が5年度から3年間を集中期間として進める公立中学校での休日の運動部活動の地域移行では、「指導者や施設の確保が地域によっては難しい」「保護者の経済的負担が重くなる」などの懸念が相次ぐ。部活動以外での運動機会確保でも同様の構図が予想され、地域・経済格差が子供の健康に悪影響を与えないような施策の工夫が求められる。