加藤泉によるプラモデル×アートが公開中@ワタリウム美術館
子どもが描くようなシンプルで記号的な顔のかたちに始まり、人を手がかりに絵画や木彫作品などを制作する加藤泉。
展覧会の延期や中止を余儀なくされたコロナ禍に、スタジオでプラモデルをつくっていたという。ネットオークションやオンラインショップで購入したプラモデルを「作品に使える」と思い始め、木彫に合わせる作品をつくり出したのだという。
こうした作品をきっかけに、フィギアやプラモデルをつくるメーカー「ゴモラキック」の神藤政勝とともにプラモデルを開発。本展ではそうした加藤のプラモデルを使ったシリーズと、それらにつながる作品が公開されている。
まず1つは、ビンテージプラモデルを木彫にコラージュしたシリーズ4点。加藤の特徴的な抽象的な人がたに、リアルにつくられた生きものを組み合わせる、新鮮でユニークなシリーズだ。
「もし自分の作品がプラモデルになったとしたら、どんな箱をつくりたいか」と想像しながら制作された平面作品『プラモデルの箱シリーズ』や、加藤が「誰が描いたかわからないが、とても魅力的」と語る、取扱説明書を描いた『組立説明書シリーズ』など、プラモデルそのものをテーマに様々な切り口で展開する。
またそのほかに、浮世絵の技法を用いた木版画、加藤が参加するアーティストバンド「THE TETORAPOTZ」と「HAKAIDERS」のLPレコードに使われたアートワーク、そしてフランス・ノルマンディー地方のアートプロジェクトのために制作した高さ7mのブロンズ彫刻作品の壁面展示も公開中だ。
オリジナルプラモデル作品とセットになったカタログも合わせて注目したい。会期は2023年3月12日(日)まで。