【色無地の着物】素材の格の違いは?帯合わせで着用シーン拡大?奥深いコーデ術
かつては生地の重さやシボの高さなども大切な要素でしたが、やはりお召しやすさや着姿を優先でお選びになる方が増えているように感じます。地紋があると、その種類や大きさにもよりますが、生地に凹凸が生まれ、特に大きな地紋は華やいだ印象になります。逆に地紋のないものは落ち着いてすっきりとした着姿になります。
※価格はすべて表地・税込み
<写真>大きな牡丹唐草模様の地紋の色無地。地紋が引き立ち、華やかな印象です。着物253,000円(高島屋)
紋付の色無地は、シーンによって帯を変えられるとよいと思います。フォーマルまたはセミフォーマルとしてのお席には、金銀糸や箔を使用した袋帯をおすすめします。訪問着にも好適な吉祥模様や古典文様の袋帯を合わせると、フォーマル感がぐっと増しお祝いの席にも好適です。
<写真>牡丹唐草の地紋の色無地に、牛車の車輪を青海波調に重ねた金の袋帯を合わせて。着物253,000円 帯275,000円(高島屋)
お付き添いの場面などでは、金銀をあまり使わずに、色糸を中心に織り上げた帯で、その方の個性やその場面に相応しいいわれや季節感を表現されてもいいと思います。
<写真>小さな地紋の色無地に、しゃれた袋帯を合わせて。着物363,000円 帯308,000円(高島屋)
色無地は、着物が一色ですから、帯の色を変えると雰囲気や印象も変わります。最近は同系色でのコーディネートもよくお見かけします。特に寒色を同じトーンであわされた着姿はとてもスマートで清々しいと思います。
さて、色無地に「紋入れ」がマストかと言われると、そうとも限りません。「もともとフォーマルな着用シーンを想定していない」「柄がたくさんあるより、無地のほうがクールでかっこいい」「無地でさまざまな帯合わせを楽しみたい」というカジュアルシーンでの着用を考えられている場合には、紋を入れずに染めの色無地をお召しになられていいと思います。
例えば、プライベートのちょっとしたお出掛けや親しいお仲間とのお集りでは、「柄のない着物」として色無地をお召しになり、カジュアルな羽織を合わせたり、帯はなごや帯を合わせておしゃれを楽しむのも好適です。
こうしたご意向の方には、色無地と少し趣向を変えた「無地感覚」の着物もおすすめです。ぼかしを使って地色にやわらかい濃淡を描いたものや、「かすみ」などでグラデーションを描いた無地感覚の着物は、帯の合わせ方でドレスアップな感覚にも、またカジュアルな感覚にもお楽しみいただけるのではと思います。
<写真>波の地紋にごく淡いトーンでぼかした小紋。帯次第でさまざまな装いが楽しめる重宝な一枚です。着物275,000円 帯418,000円(高島屋)
また、紬の着物にも、無地や柄の少ない無地感覚のものもございます。織物は、どちらかというと、染めに比べて色数や柄はシンプルなものが多いので、カジュアルなシーンで「色を楽しみたい」「柄のない(少ない)着物がいい」という場合には、紬(織物)もご覧になられるといいと思います。
<写真>無地の結城紬に、更紗模様を染め表したなごや帯。着物858,000円 帯437,800円(高島屋)