【10分で名作】古代ギリシャの壮大な冒険叙事詩『オデュッセイア』、その魅力と価値とは
トロイア戦争が終結してから数年後。イタケ島では、ペネロペイアとテレマコスがオデュッセウスの帰りを待っていた。ペネロペイアのもとには求婚者が殺到していた。彼らはオデュッセウスが死んだと思い込み、ペネロペイアと結婚してイタケを支配しようとしていた。そこで、ペネロペイアは、オデュッセウスの父ラエルテスの葬儀用の棺衣を織り終えたら、新たな夫を選ぶと約束した。
ペネロペイアは時間を稼ぐため、夜になるとその日に織った棺衣をこっそり解き、オデュッセウスが戻ってくるのをずっと待ち続けていた。テレマコスは女神アテネに激励され、求婚者たちの不興を買いながらも、父オデュッセウスを探し始めた。
一方、オデュッセウスは7年間、オギュギア島でニンフ(妖精)のカリュプソに引き留められていた。不死のカリュプソはオデュッセウスを愛して離さなかったが、彼は故郷へ帰ることを望んでいた。そこで、神々が仲裁に入り、カリュプソにオデュッセウスを解放するよう命じる。
オデュッセウスはいかだで旅立ち、パイエケス人の島にたどり着いた。彼はパイエケス人に自身の正体を明かし、トロイア戦争終結から10年間の航海の話をする。
オデュッセウスの苦難は、部下たちがポリュペモスという一つ目巨人のキュクロプスに捕まってしまったことから始まる。オデュッセウスは狡猾にもポリュペモスを酔いつぶれさせ、眠った隙に目を潰した。彼は怒り狂うポリュペモスをあざけり、自分の名前を告げる。その後、ポリュペモスは、父であるポセイドン神に祈り、オデュッセウスを10年間故郷に帰れなくする呪いをかけるよう頼んだ。
オデュッセウスは、人食い種族であるライストリュゴネス族や、部下をブタに変えてしまう魔女キルケなど、数々の危機を脱する。その後、冥界を訪問し、聞くと死んでしまうセイレーンの歌にも耐え、怪物スキュレと怪物カリュブディスがいる危険な海を航海した。その道中、船団は難破し、部下は死んでしまった。
オデュッセウスの話に感動したパイエケス人たちは、彼をイタケに送り届ける。「長い間待ち続け、多くの苦痛を味わった後、オデュッセウスはようやく幸福に満たされたのだ。彼は喜びのあまり、故郷の肥沃な大地にキスし、腕を高く上げて祈った」
女神アテネがオデュッセウスを老いた乞食に変身させていたので、オデュッセウスは気づかれずに宮殿に入ることができた。この策略はほとんどの人を騙した。ただ一匹、主人の帰りをずっと待っていたオデュッセウスの忠犬アルゴスを除いて。「アルゴスは、20年ぶりにオデュッセウスと再会した瞬間、黒い死の手に捕らえられてしまった」
オデュッセウスは息子テレマコスに自身の正体を明かし、2人は復讐の計画をひそかに立てる。その後、別の策略として、オデュッセウスの固い弓で、12個並べた斧の頭の穴を矢で射抜ける男と結婚するようペネロペイアを説得する。勝負に勝ったオデュッセウスは変装を解き、求婚者たちに矢を浴びせ、全員を殺した。ペネロペイアはようやく夫オデュッセウスと再会し、イタケに平和が戻ったのだ。