学ぶ意欲を支えたい 自主夜間学校「いいあす京都」開校
「教育のセーフティーネット」とされる夜間中学には、主に公立の夜間中学と民間のボランティアらが運営する自主夜間中学(自主夜間学校)の二つがある。文部科学省によると、中卒の資格が得られる公立夜間中学は今年4月時点で京都市の市立洛友中など17都道府県に44校あるが、居住地や最低通学日数、在籍できる年数などに条件や制約がある。これに対し年齢や学歴、国籍を問わず「誰もが学べる場」を作りたいとの思いから、洛友中元教員の川端宏幸さん(61)を中心に昨秋から自主夜間学校の開校準備を進めてきた。
式典には100人以上が集まった。「(勉強が)身についていくのが楽しい」。生徒代表としてあいさつした中野幸子さん(77)は力を込める。小中学生のころ、病弱な母の世話や家事に追われ、ほとんど学校に通うことができなかった。結婚し、子供が大きくなってから「学び直したい」という思いが膨らんだという中野さん。「いいあす京都に来るときはウキウキする」。現在は割り算を習っているといい、英語などの学習にも意欲を見せる。「学ぶ喜び」を表現した最年長生徒に、会場からは温かい拍手が起こった。
迫力ある演奏でいいあす京都の門出を祝った和太鼓集団「熱光(ひかり)」のリーダー、山田哲生さん(48)は識字教室に通う母を持つ。昨年9月に兵庫県姫路市であった交流会で川端さんと出会い、その理念にほれ込んだ。山田さんは「何歳になっても学びの場に行くとわくわくするという姿勢に共感する」と話す。
生徒を代表して川端さんらに花束を贈った小学5年、上田琴音さん(10)はいいあす京都の最年少。この日は式典で朝鮮半島の民族楽器「伽倻琴(カヤグム)」に触れた。「その音を忘れず、世界中の人と仲良くなって」とエールを送った川端さん。いいあす京都の成功は生徒のためだけでなく、社会のためにもなると訴えた。
いいあす京都では生徒やボランティアスタッフを募集している。問い合わせは事務局(075・415・1032)。(荻野好古)