平野紗季子プロデュース。 “時”がテーマの和菓子店が期間限定オープン。
1960年の誕生以来、日本独自の美意識と精神性を体現してきた時計ブランド〈グランドセイコー〉が今回オープンするのはなんと和菓子店。フードエッセイスト・平野紗季子のプロデュースのもと、京都を拠点に活動する〈御菓子丸〉の杉山早陽子と完全予約制の茶寮〈菓子屋ここのつ〉の溝口実穂が開発した和菓子を、10月7日から10日間限定で楽しむことができる。
〈和菓子屋 とき〉がコンセプトとするのは“時を食(は)む”。「一瞬」、「一日」などを冠した和菓子は、時計づくりにおいて1秒1秒の精度を追求し続けてきた〈グランドセイコー〉ならではのアイディアだ。
記憶に残る一瞬を菓子に込めて制作する〈御菓子丸〉の杉山早陽子が取り上げたのは「一瞬」と「一分」。
山葡萄の寒天と、ヨーグルトにカルダモンやレモンバーベナの風味を忍ばせた淡雪の二層で織りなす《一瞬 淡雪と山葡萄の寒天》は、秋ならではの味。まろやかな酸味と共に消える淡雪の先で、山葡萄の風味がじんわりとやってくる。そんな一瞬の味わいを堪能できる逸品だ。
わずか1分の間で刻々と表情が変わっていく陽の出の眩しさ。その移ろいを琥珀糖に落とし込んだ《一分 陽の出の琥珀糖》。檜とミントから、レモンと黒文字、パッションフルーツとフランボーズへとグラデーションされた、色調も味わいも美しい菓子となっている。
菓子と茶をコースで提供する完全予約制の茶寮〈菓子屋ここのつ〉の溝口実穂は「一日」と「一週間」を和菓子で表現。
岩手の放し飼い卵の卵白など選び抜かれた素材と職人の手仕事によって、エアリーに仕上がった自家製羽二重餅はまるで“水もち”のような食感。それゆえ、24時間のうちにしか口にすることができない繊細な《一日 スパイス水もち》は、カトラリーを使わず手で持ち、五感と共に味わいたい。
《一週間 和薔薇とレモングラスのぷるぷる》は薔薇の最も美しい一週間が永遠に続くように、その花びらと香りを閉じ込めた透明なゼリー。滋賀の農園で作られた桃のような香気を放つ無農薬の和薔薇と、石垣島産のレモングラスの香りが口に運ぶたび漂ってくる。