俳優・村雨辰剛さん、 京都で 「骨董入門」。深める”和の暮らし”
むらさめたつまさ●1988年スウェーデン生まれ。庭師、俳優。日本で日本人として暮らしたいという夢を抱いて来日。造園の修業後、庭師として独立。俳優としてもNHK「カムカムエヴリバディ」などで活躍。『村雨辰剛と申します。』(新潮社) 発売中。
撮影=轟 あずさ ヘア&メイク=HARIO!? スタイリング=Takayuki Sekiya 取材・文=大喜多明子 編集=須田秀子 ジャケット・ Tシャツ・ パンツ/すべてバナナ・リパブリック 『婦人画報』2022年9月号より
日本の親方のもとで修業を積み、伝統文化と深く関わる庭師となり、日本国籍も取得しているスウェーデン生まれの村雨さん。日本家屋に住まい、現代の生活にも古きよき「和」の味わいを取り入れようと、さまざまな試みをしているそうです。骨董品も好きで、和簞笥や掛軸など、好みの品が見つかればオークションサイトで購入、日常のなかで使っているのだとか。今回は、骨董の世界の視野を広げ、より親しんでみたいと、この夏リニューアルオープンした京都・古門前の「古美術 今出川」を訪ねました。
心地よい静けさのなかに、平安、鎌倉、室町、江戸など時を重ねた品々が並ぶ店内。「ここにある美術品のようなものは器として使っていいのですか?」。村雨さんの問いかけに、店主の今出川朋樹さんが穏やかな口調で答えます。「骨董は暮らしのなかに取り入れてこそのものです。例えば向付であった器を、料理を盛るだけではなく湯吞みや酒器として使う方法もあります。〝育てる〞というのか、使ううちにさらに味が出てくる。骨董は使われてきた歴史が味わいになるんです」