受験リポート 「滑り止めなし」の新トレンドも 地域で異なる併願校数
河合塾の昨年の入試結果調査によると、国公私立や現役・浪人の区別なく全国の受験生が受けた学校数は全国平均で4校だった。
地域別で最も受験校数が多かったのは東京の7・0校。南関東(埼玉、千葉、神奈川)6・7校、東海(愛知、岐阜、三重、静岡)4・8校と続き、最も少なかったのは北海道で2・9校だった。
現役生の受験校数は平均4・7校だったのに対し、浪人生は7・0校だった。
河合塾教育研究開発本部の近藤治・主席研究員は「都市部に住んでいれば複数校を受験しやすいが、遠方からの場合、受験料に加えて移動や宿泊の費用もかさむため、どうしても地域間格差は生じる」と話す。
河合塾ではこれまでの併願パターンとしてチャレンジ校1~2校、実力相応校2~3校、その下に合格確保校1~2校という「ダイヤモンド型」の受験を推奨してきたが、近年は合格確保校の受験を減らす動きが広がり、さながら「ピラミッド型」の受験になっているという。
「昨年は難関校や中堅上位校で追加合格・補欠合格が相次ぎ、大きく倍率を落とした。結果的に私立大の易化が広く認知された」と話すのは旺文社の入試情報担当者。大都市圏の難関校は今年も合格者数を増やすものとみられ、中堅上位校以降も玉突きで合格者を増やさざるを得ない。
こうしたことから、「併願パターンのうち次善の志望校である実力相応校で合格を確保できる見通しが立ち、合格確保校に出願しない『逆T字型』のパターンが増える見込み」だという。
コロナ禍や国際情勢の悪化、円安に伴う不況など先行きは不透明。だが、新課程入試が始まるまで2年の猶予があるとあって、「受験生の『後がない』という意識はまだ弱く、保護者が併願校数を抑える可能性は大きい」としている。