【大人の習い事体験記】正餐の茶事「BIFU STYLE」
待ちわびていた2022年末のビッグイベントがやってきました。
弟子たちが集う、お家元主宰の「正餐の茶事」です。
この茶事は、入門さてせいただく前にインスタで拝見し、その鮮烈な光景に、ひとり憧れを抱いていた会でした。今年は、そこに自分も身をおかせていただけるというのですから、心踊らずにはいられません。
何に惹かれていたかといえば、他には類をみないプログラムの素晴らしさです。まず、かつてオーナーシェフをされていたお家元が、その腕をふるってくださるフルコース料理。さらに、その昔はミュージシャンであった歌声に、耳を傾けることも願うのです。お家元の人生の美学が凝縮した茶事は2日に分けられ、ひと晩10組限定。みなから、別名“ディナーショー”と称されているのも、うなずけますよね。
会場に入ると、奈良の煎茶美風流本部が、お家元の手で華やかな晩餐会のしつらえに彩られています。このしつらえが本当に素晴らしく、長いテーブルのセンター部分には“冬の森”が再現されています。木々の枝には綿花の雪がつもり、冬枯れの木立の影には干支のうさぎや、愛嬌たっぷりのカエルのオブジェが身を潜めています。さらに目を凝らすと、エキゾチックな民族像や、お経をあげるお坊さんの姿も。この“格式高いファンタジー”は、個人的にはナンシー・エコーム・バーカートが描いた『グリム 白雪姫と七人の小人たち』のワンシーンを思い出してしまいます。お家元の意図とは全く違うと思いますが(!)、幼少期の憧れの絵本の世界が、大人になった今、日本版白雪姫として現実に現れたかのような、夢あふれる世界。胸が高鳴ります。