国公立大2次 出願傾向は第一志望重視 共テ平均点アップで
■難関大で志願者増か
1月18日時点の大学入試センターの中間集計によると、共通テストの平均点は、生物、世界史A、政治・経済、物理基礎がセンター試験時代を含めて過去最低となった。一方、昨年は難化が指摘された数学は主要科目で上昇。河合塾の分析では、5教科7科目(900点満点)の平均点は理系が562点(前年度比39点増)、文系が542点(同22点増)。ともに昨年よりも大幅に上がっている。
こうした状況を踏まえ、同塾が調査したところ、国公立大の志望動向は難関とされる大学で志願者増が目立っていた。7つの旧帝大に東京工業大、一橋大、神戸大を加えた10校は前年比104%。筑波大や千葉大、東京都立大など地域の拠点となる10校でも同106%と伸びを示した。
受験生の背を押すのが、近年の国公立大合格率アップだ。共通テスト受験後にそれまで第一志望として目指してきた大学・学部にそのまま出願した「初志貫徹組」の合格率は平成30年度に36・3%だったが、令和2年度に38・9%、昨年度は40・4%まで上昇した。
河合塾教育研究開発本部の近藤治主席研究員は「合格率の上昇には、難関大入試で現役生の手ごわいライバルとなる既卒生(浪人生)の減少が影響しているとみられる」と話す。各大学の全受験者に占める既卒の受験生の割合を元年度と4年度で比べると、東京大は36・0%から32・4%に。私立大でも早稲田大で39・1%から31・8%、慶応大で37・6%から33・3%に下がるなど現役生中心の入試に変わりつつある。
■「隔年現象」に注意
一方、志願動向を大学所在地区別でみると、関東(前年比104%)や近畿(同103%)、東京(同100%)、東海(同99%)など都市圏を中心に上昇や横ばいが目立ったものの、四国(同91%)や甲信越(同95%)、北陸(同95%)など地方では低下が顕著だった。
近藤氏は「地方は子供の数が減り、受験人口も少ない。一方、国公立大の定員は減っていないため、受験生にとってはチャンスが広がっている」と説明する。
また、近年の大学入試では、新型コロナウイルス禍による地元志向の高まりなどが指摘されてきたものの、今回は「志願動向を見る限り、影響はほとんどなかった」(近藤氏)。コロナ禍3年目の入試シーズンは、コロナ前の状況に戻ったといえそうだ。
とはいえ、出願にあたって注意しなければならないこともある。ある年の入試で志願者が減った大学は、その翌年に志願者が大幅に増える「隔年現象」が起こる可能性がある。とりわけ、ほぼ各県にある国公立大の医学科では近年顕著な傾向だ。例えば、元年度に前年度比130%と志願者が増えた信州大の医学科では、2年度に同60%に激減。3年度は同128%、4年度は同80%と乱高下している。
近藤氏は「医学科志願者を中心に、冷静にこの数年の倍率などを調べて見極めた上で出願先を決めてほしい。共通テストの結果のよしあしに関わらず、気持ちを切り替えて2次試験対策に専念してもらいたい」と話した。