美術とともに生きるとはどういうことか。わきもとさきの個展「わたしはおうちのお当番」がパープルームギャラリーで開催へ
わきもとは1994年東京生まれで2018年よりパープルームに参加。一貫してホームセンターで売られている資材、使い古された布や生活のゴミ、配達物などを寄せ集めて作品を制作するアーティストだ。19年に同ギャラリーで開催された個展「ひとりくらし」では、会期中にわきもとが開廊時間以外もギャラリー内で生活。文字通り美術と生活の境界を曖昧にしてきた。
また、制作中にいつの間にか睡眠を取ると、作品になる予定のものはたちまちわきもとの寝具になってしまうという。その並外れたマイペースさは「つくるとはなにか」という根本的な問いと結びついているようだ。
本展では、2023年の新作《又この泉にかえる》が展示。本作では衣類(私物、祖母が着ていたパジャマなど)や労働先で拾ったという電球など、作家の身の回りにあった様々なものが素材として使用されており、日々自然にあふれ出る生活物や作家自身の営み、労働と生活と制作を行き来すること、うまくやり繰りできないこと、作品とともにした生活など、「作品や生活・自分のあいだで発生するすべてのコミュニケーション?の中で生きているぞ!」という感情が表現されているという。
なお、会期中の7月4日にはわきもとの父であり演歌歌手の千葉一夫とわきもとによるイベント「生活とリサイタル 演歌と寿司と美術のハーモニー」も同ギャラリーに隣接する寿司店「みどり寿司」にて開催される。演歌と寿司と美術の共演をぜひチェックしてほしい。