まるでギャラリー! 内田鋼一の器や家具を体験しながら「日本焼肉」が食べられる〈はせ川 別亭 銀座店〉。
東京と大阪で、寿司、鉄板焼きなどの飲食店を手がけるはせ川グループは、数多の美食家が信頼を寄せる飲食店ブランド。銀座と表参道で展開しているのが〈日本焼肉 はせ川〉だ。
「日本焼肉」とは、日本料理と焼肉を組み合わせたオリジナルのスタイルで、料理長をはじめ料理人はすべて和食の職人をそろえ、食材選びに並々ならぬ情熱を注いでいる。部位ごとに目利きして仕入れる肉は、入手困難な黒毛和牛のみ。魚介や野菜、果物などは、季節を追いかけ、日本全国を網羅した産地から直送したものを扱う。
従来の韓国式焼肉と一線を画すのが、肉の味付けにゴマ油、ニンニクを使っていないこと。焼肉以外のメニューでも、たとえば、ナムルの代わりに季節野菜の白和えがあったり、キムチではなくキュウリの辛子漬けを合わせるなどの工夫がなされている。既存店では、コースとアラカルトメニューを用意しているが、〈日本焼肉 はせ川 別亭 銀座店〉は、月替わりの35,000円のコース1本のみ。厳選食材からさらにしぼりこみ、旬のピークを迎えた逸品を用いた美食の極みともいえるコースを、カウンター越しにフルサービスで味わわせてくれる。
特筆すべきは、ギャラリーと見紛う静謐な空間。陶芸家・造形作家の内田鋼一が〈日本焼肉 はせ川 別亭 銀座店〉のために作成した特注品が、カウンターバックや店内の一角に設けた棚に並べられ、座って眺めているのも一興だ。さらには、折敷や箸置きをはじめ、板皿や浅鉢などさまざまな器に、八寸やお造りが盛り付けられてくる。日本国内はもちろん海外にも熱烈なファンが多く、飲食店の器を手がけることは数少ない。鑑賞するだけでなく、実際手にして食事を楽しめるのはまさに夢見心地の時間。
内田の作品は器だけにとどまらず、店内の錆鉄を用いた椅子や飾り棚なども手がけている。また、重要文化財などの修復も行う、左官職人・久住有生が設えた、土壁、カウンター、個室のテーブル天板にも着目したい。2人のコラボレーションを目の当たりにできるのは、この空間だけ。