今月の読みたい本!【4月】アート&カルチャーおすすめ本を紹介
アートダイバー 2400円+税 3月17日
アーティスト琴仙姫(クム・ソニ)によって企画された「朝露」は、「元「帰国者」」をテーマとしたソーシャリー・エンゲイジド・アート・プロジェクト。1950~80年代、9万人を超える在日朝鮮人が北朝鮮へと「帰国」。しかしこうした人々の多くはその後、深刻な貧困や過酷を経験することになる。琴、竹川宣彰、山本浩貴+高川和也の3組のアーティストは日本で暮らす脱北した元「帰国者」らに会いに行き、作品を制作。本書は2020年11月に展覧会で発表されたこれらの作品とその記録のほか、キュレーターや研究者らの寄稿も交えて、この東アジアの歴史問題に迫る。
岡村幸宣 著
あかね書房 1500円+税 3月20日
夫の丸木位里とともに描いた「原爆の図」で知られ、本作を展示する「原爆の図丸木美術館」ををつくった画家・丸木俊の伝記。北海道で生まれ、東京の美術学校で学び、モスクワやパラオ諸島へも渡りながら、自然や人を愛し、豊かな創造性にあふれた絵を描き続けました。そんな芸術家の生き方を辿る。筆者は原爆の図丸木美術館 学芸員。
星野太+浅沼敬子+岩川ありさ+シュテファン・ヴューラー+ミヤギフトシ 著
浅沼敬子 編 水声社 2500円+税 3月25日
フェミニズム・クィア理論を援用しながら、写真、映像、インスタレーション、小説まで、様々な手法を横断的に用いて〈物語〉を紡ぎ出す、沖縄出身の美術家・小説家、ミヤギフトシ。本著は美術・文学の両側面からミヤギの活動を多角的に描き出し、その全貌に迫る。
原田マハ 著
新潮社 1700円+税 3月29日
『芸術新潮』のインタビュー連載が単行本化。小池一子、石内都、エマニュエル・プラット、美輪明宏、ドナルド・キーン、藤森照信、福武總一郎、山田洋次、高階秀爾、谷川俊太郎、青木淳、安藤忠雄ら、33人との対話を収録。
平芳幸浩 編著
春風社 3700円+税 3月31日
「皮膚感覚」を手がかりに、現代の諸表現の意義と可能性に触れなおす論文集。マルセル・デュシャン研究で知られる近現代美術の研究者である平芳幸浩が編著を務め、序論や「第7章 皮膚感覚としての『建築する身体』―荒川修作+マドリン・ギンズあるいはヘレン・ケラー」を執筆するほか、平芳裕子「第4章 シームレスの美学―ファッションと皮膚感覚」、牧口千夏「第6章 ピピロッティ・リストのヴィデオ・インスタレーションにおける皮膚感覚」などファッション、アート、マンガなどに関するテキストを収録。