天皇陵に匹敵する国内4番目の岡山・造山古墳で石室発見 堺で古墳サミット
全国古墳サミットは、世界文化遺産の百舌鳥(もず)古墳群のある堺市が、全国の古墳の魅力発信のため、東北から九州まで各地の自治体に呼び掛けて初めて開催した。
造山古墳は、仁徳天皇陵古墳などを築いたヤマト王権のライバルで、岡山地方に勢力を持った「吉備王国」の王の墓ともいわれる。市教委が10月から後円部の発掘を行っており、頂上部の地表面を80センチほど掘り下げたところ、30~40センチ大の安山岩の板石が5点、並んだ状態で見つかった。被葬者を納めた竪穴式石室の一部の可能性があるという。
全国古墳サミットでは、大森雅夫市長が調査状況を説明し、「ヤマト王権と対等な関係にあった吉備の王の墓であり、1500年以上前の石室の姿が明らかになることを期待したい」と話した。
サミットでは、昨年に発掘が行われた仁徳天皇陵古墳について、宮内庁陵墓課の加藤一郎氏が報告。墳丘を囲む堤から、築造当時の円筒埴輪(はにわ)や石敷きが見つかった状況を説明し、「堤は周濠(しゅうごう)の水による浸食が進んでおり、保全方法を考えていく必要がある」と述べた。
地元・堺の永藤英機市長は「全国には16万基の古墳があるといわれ、そのうち百舌鳥(堺市)・古市古墳群(大阪府羽曳野市、藤井寺市)の49基が世界遺産に登録された。日本の古墳を代表して世界に魅力を発信する役割がある」と語った。
東北最大の前方後円墳で知られる宮城県名取市の雷神山古墳(墳丘長168メートル)、巫女(みこ)など精巧な人物埴輪が出土した群馬県高崎市の保渡田(ほどた)古墳群などについても、歴史的意義や古墳を生かした地域活性への取り組みなどが紹介された。
古墳サミットは、令和元年の百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録を記念し、翌2年に府内の自治体によって「おおさか古墳サミット」を開催。今年1月には奈良や京都などの近畿、徳島県などによる「関西古墳サミット」、今回は全国に対象を拡大して行われた。