夏の涼しげ「草木の着物」ドレッシーな小千谷縮、シックな能登上布…洗練コーデ
草木の着物を代表するのが、苧麻の繊維から績んだ糸を用いた上質な麻の着物、上布です。日本各地で生産される上布、北は新潟県越後地方で作られる越後上布や小千谷縮、南は沖縄県宮古島で織られる宮古上布や石垣島の八重山上布が知られています。麻の魅力はなんといっても涼しい着心地です。着物にそっと手を当ててみましょう、ひんやり冷たく感じられるのがわかるはず。生地に張りがあるので体に、付かず離れず、風が通り、暑さをやわらげてくれるのです。
真夏の暑さを涼しく乗り切る草木の着物を主役にしたコーディネートをご紹介します。
撮影=水田 学(NOSTY) ヘア&メイク=谷川 一 志(カインド) 着付け=奥泉智恵 モデル=桐山マキ 松田珠希 撮影協力=ロッシュ ボボア トーキョー 『美しいキモノ』2022年夏号より
ベージュ地に、茶のしゃれた絣模様を織り表した本格派の小千谷縮。新潟県の小千谷地域で制作されるシボのあるさらりとした着心地の一枚には、波と千鳥を刺繡したなごや帯でドレッシーな印象を添えて。紋紗の黒が装いを引き締めます。
<写真>着物(染織こうげい神戸店 tel.078-333-5185) 帯(京繡すぎした tel.075-491-7523) 帯〆(渡敬 tel.075-221-1708) 帯あげ(みふじ/加藤萬 tel.03-3661-7747) バッグ99,000円(ヘチ tel.03-6751-2127)
石川県羽咋市の織元で作られている、黒地に子持ち縞を織り出した能登上布。つるりとした麻の素材感とすっきりとした柄が、粋で着慣れた風情を醸し出します。着物に揃えて、絣柄を表した能登上布の八寸帯を合わせて。さりげなさが素敵な、シックな着こなし。
上の2枚の写真はともに苧麻を原料とした麻の着物。シボのある風合いが特徴の小千谷縮、光沢感のあるつるりとした布面が魅力の能登上布。どちらも涼しく着ることを考えて生まれた織物です。自然から生まれた着物はまさにSDGsなアイテム。地球に優しく、自分に優しい真夏の織物で暑さを乗り越えましょう。
<写真>着物(高知・特選呉服いしはら tel.088-880-0047) 帯(木村 tel.075-341-1281) 帯〆(龍工房 tel.03-3664-2031) 帯あげ(みふじ/加藤萬 tel.03-3661-7747)