南米ギアナ高地の秘境の中の秘境、「空に浮かぶ島」の一瞬の姿をとらえた
4月号の特集記事「南米ギアナ高地 最後の秘境へ」は数年がかりの情熱的なプロジェクトの成果だ。オズターク氏の使命は、熱帯雨林とテプイが広がるベネズエラ南東部の辺境を探検し、この地域特有の生態系と動物種を記録することだった。渡航制限などの難題が立ちはだかり、プロジェクトは延期されたとオズターク氏は振り返る。
プロジェクトには、この地域の保護に人生をささげる保全生物学者のブルース・ミーンズ氏と米国のプロロッククライマー兼作家のマーク・シノット氏も参加した。シノット氏はテプイを「ジャングルにそびえ立つ塔」と表現している。
オズターク氏によれば、今回の遠征では、登山やクライミングの知識はあまり役に立たなかった。過酷なジャングルが毎日のように難題を突き付けてくるせいだ。表紙を飾るテプイの写真を撮影し、旅を終えるまで、チームは当地の先住民の知識を頼りに、ジャングルを移動し、シェルターをつくった。
「テプイを垂直に登るため、その麓に到達するまでが、私たち全員にとって、これまで経験した中で最も困難な場所の部類でした」とオズターク氏は語る。
オズターク氏らは辺境行きの小型機に乗り、丸一日かけて川をボートで上り、ジャングルを1週間半かけて100キロ近く歩いた。
「空が見えないため、木々に覆われた下にいると、狭苦しく感じます」とオズターク氏は話す。「骨の髄までずぶぬれになりながら、未開のジャングルを移動し、人だけでなくすべての機材を安全に運ばなければなりません」