「アキレス腱」は英語で何? 英単語を本気で覚えるために役立つ「ギリシャ神話」の教養
英単語の「語源」について考えたことはあるだろうか? 話題の新刊『教養の語源英単語』には、身近な英単語の意外な語源が数多く紹介されている。今回は、ギリシャ神話にまつわる英単語を詰め込んだ第一章から一部抜粋してお届けする。
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ゼウスは、かねてよりテティス(海の女神)に好意を抱き、近づこうとしていたが結局、テティスと結ばれることはなかった。一説にはプロメテウス(ティタン神族の一人。粘土で人間をつくったことから、人間の生みの親と言われる)が磔の刑から解放されることを条件に、ゼウスに秘密を明かしたとも言われる。
やがて、テティスはプティーア王「ペレウス」という人間と結婚し、無双の強さを誇る英雄「アキレス(Achilles)」を産む。
テティスはアキレスが産まれると不死身の肉体を持たせるために、地下の冥界に流れる川に息子を浸すが、その際に足首をつかんで浸したために、その部分だけが不死身とならなかった。アキレスは後のトロイヤ戦争で、その弱点を射貫かれて命を落とすことになる。
現代英語でもAchilles’ heel(アキレスの踵)は「唯一の欠点」や「致命的な急所」の意味で使われる。
「アキレス腱」はAchilles tendonと言う。運動をする時にはアキレス腱は伸ばすものであるが、tendon(腱)はラテン語のtendonemに由来し、印欧祖語で「伸ばす、広げる」という意味のtenにさかのぼる。
伸ばして柔らかくするtenderは形容詞で「優しい、柔らかい」で、手を伸ばせば動詞で「提出する」となる。
足をある場所に伸ばせばattendで「出席する」、単にtendなら、ある方向へ伸びることから「傾向がある」、名詞形tendencyは「傾向」、気持ちが張り詰めている状態はtension(緊張)、形容詞形tenseは「緊張した」となる。