「5類」で撤去のアクリル板、「動物保護」の新たな役目…学生デザインのキーホルダーに
5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に移行。同大でも、学内の食堂や自習スペースに設置されていた厚さ3ミリほどの頑丈なアクリル板が次々と撤去された。
人間の命を守るために3年もの長い間活躍したにもかかわらず、役目を終えて撤去されたアクリル板。「そのまま廃棄して、この間に得られた教訓をも忘れてしまっていいのだろうか」と考えた同大芸術学部ソーシャルデザイン学科の伊藤敬生教授は、感染対策の象徴でもあったアクリル板の再利用を検討し始めた。
思いついたのは、透明なアクリル板を、地球のどこかで知らぬ間に「消えゆく」絶滅危惧種の動物の姿をかたどった製品に生まれ変わらせることだった。資源の廃棄と野生動物の危機、二つの社会問題を投げかけようと試みた。「アクリルアニマルプロジェクト」と名付け、学部内で有志を募ると、5人の学生が手を挙げた。
学生たちは、「絶滅してほしくない」と思う動物を1人3種類ずつ挙げ、自らデザイン。久留米市の抜き型メーカー「モリサキ」の協力を得て、大学内の自習スペースで使われていたアクリル板を消毒・加工してもらい、デザイン通りに計15種類の動物の形に切り取った。
今月7日には学生3人が同社を訪問し、「アクリルアニマル」の仕上がりを確認。断面をヤスリで磨き上げる作業を行った。
ソーシャルデザイン学科2年の福田千紗さん(20)は、飛べないオウムのカカポなどをデザイン。「手に取った人が、『こんな動物がいるんだ』と話題にしてくれることを想像しながらデザインした」と振り返る。
同学科4年の有馬優さん(21)は、大好きなアミメキリンを選んだ。「手元にあると一層動物たちに愛情が芽生える。どこか人ごとだった絶滅危惧種の問題も自分事に感じられる」と語った。