「阪神・淡路」「東日本」被災地をリモートで結ぶ 中学生が思いひとつに
リモートで授業を受けたのは、兵庫県高砂市立竜山(たつやま)中学校の99人と、宮城県石巻市立桃生(ものう)中学校の52人。
竜山中は、東日本大震災で家屋が流出した石巻市南浜に咲いた「ど根性ひまわり」を育てる活動に取り組んでいる。そのつながりで、石巻市内の中学校との交流先を探していたところ、桃生中に〝白羽の矢〟が立った。
教材には、阪神・淡路大震災の実話『語りかける目』が使われた。救助に出動した警察官が見つけた少女は目の前に、焼け焦げた鍋が置かれている。中を覗き込むと、小さな遺骨。少女が集めた亡き母のものだった。じっと見つめる少女の目。いたたまれなくなった警察官は何も言えず、その場を離れてしまう-。
竜山中の道徳の授業がそのまま桃生中でも流され、教諭が2つの中学校の生徒たちに語りかけた。「印象に残ったところはどこ?」「どんな気持ちで現場を離れたと思う?」。生徒たちは「覚悟を伝えている目」「くじけずに、前を向いていこうという気持ち」「何で助けてくれなかったんだろう」などと、それぞれの思いを伝えた。
桃生中の酒井琉君は当時1歳だったが、「両親の話でしか震災を知らない。もっと長い時間学習していきたい」。同じく佐藤空さんは、津波でおばを亡くしたという。「当たり前のことが、毎日続くとは限らない。いろんなことを学んでつなげていきたい」と話していた。
まったく別の場所で起こった震災だが、生徒たちは思いをひとつに授業に向かっていた。