〈マメ クロゴウチ〉初の旗艦店が表参道にオープン。
フォルムの美しさと精妙なディテールに定評のある〈マメ クロゴウチ〉。表参道駅からわずか1分ほどの場所に1月19日にオープンした初の旗艦店は、羽根木にあった小さな直営店では見せられなかったスケールで同ブランドの世界観を空間から感じ取ることができる特別な場所だ。
「単に多くのラインナップが見られるだけでなく、モノとじっくりと対峙する体験が生まれる場所になってほしい気持ちがありました」(黒河内)
こう語るのは、デザイナーの黒河内真衣子。黒河内はすぐに、羽根木の店舗でも協働した柳原照弘に空間設計を依頼した。
「柳原さんは、率直に意見を重ね、繰り返し対話が続けられる存在。建築がまったくの素人の私でも、素材選びやディテールの見定めを一緒にできるのは嬉しかったです」(黒河内)
新しい拠点として黒河内が選んだのは、表参道の裏路地にひっそりと立つクラシカルなビルの1~2階。
「元は住居だった場所。周囲の環境との共存を大切に、〈マメ クロゴウチ〉らしい空間に仕上げることを考えました」(柳原)
エントランスの真正面には美しい花が生けられ、その背後の窓に植栽が映り込む。セッティングの鍵となったのは、黒河内のものづくりの原点にもなっている、長野の美しい風景だ。
ガラス窓越しに見えるのは華美な庭園ではなく、サザンカやヤマザクラといった身近な木々を植えた普通の裏庭。樹々の足元を切り取ったような開口を設けたことで、花が咲き誇る様子ではなく、はらはらと散る様子がうかがえるのも雰囲気がある。
都会の喧騒から一旦切り離されたこの場で呼吸を整えたら、左手に見える階段からコレクションが並ぶ上階へと足を進める。