写真家・小原玲さんの遺作展、原点の前橋で 野生動物など100点
1989年に北京の天安門広場で民主化を求める学生らが弾圧された天安門事件や91年に勃発し無政府状態が続いたソマリア内戦など最前線で撮影した報道写真、アザラシの赤ちゃんなど野生動物をとらえた写真など100点を展示。小原さんの写真家としての歩みを振り返る。
小原さんは、高校時代に同級生や先生らの日常の様子をカメラに収めていた。高校時代に写した1枚の写真が人生を変えたという。先生と議論する「優秀な生徒」とアダルト雑誌を広げてにやける「普通の生徒」を対比させた「休み時間」というタイトルの写真が出版社の写真コンテストでグランプリに輝いた。写真展では高校時代に撮影した写真も見ることができる。
同級生有志の1人、阿部和也さんは、亡くなる2カ月前に小原さんから「高校時代に友人を撮影し、プリントを渡すと喜ばれ、撮った自分もうれしかった。喜びや幸せの写真を撮ることができた前橋が自分の『原点』だ」という言葉を聞かされた。同時に末期のがんであることも告げられ、写真展の開催を約束していた。小原さん自身はかなえることができなかったが、親交のあった同級生たちと遺作展を開くことを決めたという。
写真展について阿部さんは「小原は『写真の原点は悲しみじゃない』と話していた。彼が写真を通して何を伝えたかったのかを、みなさんに感じていただければ」と話している。
開催は4月10日まで。入場無料。27日午前10時半からは、小原さんの妻で、小説「1980アイコ十六歳」などの作品で知られる作家で大学教授の堀田あけみさんのトークショーが行われる。【庄司哲也】