<今月見るべきアート展>愛らしいアニマルズから見えてくる仏像的要素。『三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions』
三沢は、幼少期に京都や奈良の仏像に親しむなかで、彫刻の魅力に惹かれ、東京藝術大学で彫刻を学んだ。親しみやすく愛らしいこの「アニマルズ」シリーズも、おそらくボリュームの表現の仕方や素材の必然性、デフォルメや省略、またモノと空間の関係性といった近現代の彫刻的問題を引き受けているのは間違いないが、日本の彫刻のひとつの源泉である仏像的な要素がどこか含まれていると考えながら鑑賞しても面白いだろう。本展では、キメラやペガサスなど空想上の動物をモチーフにした近作も加わり、エントランスやエレベーターホールなど展示室以外のスペースにも、動物の彫刻たちが待ち受ける。サイトスペシフィックな展示もひとつのみどころだ。
『三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions』
@千葉市美術館
開催中。9月10日(日)まで。
BY MASANOBU MATSUMOTO