長濱ねるが日本初の大規模個展『ダミアン・ハースト 桜』で没入体験。
「近くで見ると立体感があって、ピンクや赤だけでなく、オレンジや黄、青などいろいろな色がありますね。すべての絵が異なっていて、桜だけでいろいろな顔を表現できるのがすごいとまず思いました。全部の絵で桜が咲いているのも不思議に思えます。枯れているものがない。なぜ、すべて満開なのでしょうか?」と長濱。
咲き誇る桜を待ち受けるのは死だ。そこに描かれる桜が美しければ美しいほど、私たちは間近に訪れるその死を予感する。ハーストが追い続けるテーマの一つが「生者における死の物理的な不可逆さ」(作品のタイトルでもある)だが、ここでもそれは貫かれている。
「《桜》のシリーズは美と生と死についての作品なんだ。それらは極端で、どこか野暮ったい。愛で歪められたジャクソン・ポロックみたいにね。《桜》は装飾的だが、自然からアイデアを得ている。欲望、周囲の事柄をどのように扱い、何に変化させるのかについて、さらに狂気的で視覚的な美の儚さについても表現している」(本展カタログより)