卒業式のマスク不要「早く決断してほしかった」 コロナに翻弄された高校3年生
新型コロナの感染拡大とともに学校生活が始まった現高校3年生。大阪府教育庁の担当者は「高校生活3年間ずっとマスクを装着してきた学年。大学入試直前ということもあり、外すことを怖がる子もいるだろう」とおもんぱかる。全校一律にマスクを外すことを求めることはせず、「学校や個人の判断を尊重したい」としている。
2月24日に卒業式を控える大阪府立吹田東高校(大阪府吹田市)の東知佐子校長は「岸田首相がはっきりと伝えてくださったことで、マスク着脱は自由だと周知がしやすくなった」と歓迎する。卒業式では生徒の間隔を開けてマスクを装着したうえで、国歌や生徒が選んだ歌を斉唱する予定で、教育委員会からの通知を受け取り次第、式典でのマスク着用は自由だと生徒や保護者に伝える。
一方で、同日に式を予定する府内の別の高校からは「もう少し早く決めてほしかった」との声も上がる。この高校では卒業式の参列者数を1家族2人までと絞り、すでに1月中に保護者への案内を配布済み。家族の参列者数に合わせてすでに在校生の参加人数も決めてしまっており、今からの変更は難しい。
教頭によると、この学年はコロナ感染拡大で3年前の入学式も中止された。政府の方針に「この内容なら参加者の制限をかけることなく、多くのご家族に式に出てもらえたのに」と残念がる。
また、政府は4月からの新学期の学校教育活動において、合唱時なども含めてマスク着用は求めない方向で調整を進めており、マスク着用が当たり前だった学校の風景が大きく変わりそうだ。ただ、この教頭は「教える側が危険を感じないかどうか」と懸念する。高齢の教員や持病を職場に伝えていない教員もいるため、「感染したり亡くなったりする方は今も一定数おり、一斉にマスクを外せば重症化のリスクがある先生は怖いと感じるかもしれない」と話した。(木ノ下めぐみ)