現代の時間感覚から離れた「鈍さ」を。ブックディレクター・幅允孝の私設図書館が京都に誕生
「鈍考」は、幅が代表を務める有限会社BACHの京都分室として位置づけられ、「時間の流れの遅い場所」を意図した建物に、BACHが18年前の創業以来アーカイヴしてきた約3000冊の蔵書を収めた私設図書室だ。90分6名(1日3回の入れ替え制)のみをウェブからの予約で受けつける。また、この「鈍考」には「喫茶
芳」が併設され、手廻しの自家焙煎で深煎りにローストした珈琲を、ネルドリップの抽出で飲むことができる。
設計は建築家・堀部安嗣が手がけ、幅とともに土地探しの段階から一緒に計画を進めた。伝統的な日本の住宅建築の手法と最先端の技術を織り合わせ、その場所ならではの居心地と温かみと、静かに流れる時間をつくりあげたという。
また、施工を担当したのは羽根建築工房。「手刻み」と呼ばれる日本古来の伝統工法を随所に用い、堀部の描いたプランを実装させた。
現代の時間感覚からは距離を置いた「鈍さ」を体感し「1冊1冊の本に深く潜る」ための実験室であることが目指される。