【瀬戸内国際芸術祭2022】男木島|坂 茂の建物から海とアートを見る。
大岩オスカール+坂 茂《男木島パビリオン》
海を見下ろす高台に坂 茂の設計で小さなパビリオンを新設。室内には大岩オスカールが絵を描く。襖には瀬戸内の波をイメージした絵が、海が見えるガラスの扉には瀬戸内海の魚などが描かれる。
「坂さんの紙管の建築はシンプルな素材を使ったこの街によく合うと思う」(大岩オスカール)
ガラス扉の絵は女木島、男木島の形をした魚や、3枚を重ねても1枚の絵に見える工夫などがされており、遊び心が感じられる。坂 茂の建築はまだ進行中だ。床には畳が敷かれる予定になっており、完成すればゆっくりと座って海を眺められる場所になる。
ワン・テユ(王德瑜)《No. 105》
こちらも海がよく見える、もと倉庫として使われていた建物。そこに台湾のアーティスト、ワン・テユは瀬戸内の風を封じ込めたようなオブジェを作った。色は瀬戸内海の名物であるレモンと生い茂る木々のグリーンから着想したもの。鑑賞者が座ったり、中に入ったり、穴から首を出したりすることができる。ポップなエネルギーを感じられる作品だ。
エカテリーナ・ムロムツェワ《学校の先生》
古民家に入ると学校や先生をテーマにした絵画やインスタレーションが現れる。作者がさまざまな人たちから聞き取った「学校の先生」の話をもとに描いたドローイングのほか、彼女の拠点ニューヨークと男木島とをオンラインでつないで子どもたちが行ったワークショップの光景なども。この家の中だけでなく、どんな場所にいても、誰もが「先生」であり「生徒」であることを教えてくれる。
港ではジャウメ・プレンサ〈男木島の魂〉が、集落内の空き家では村山悟郎や川島猛とドリームフレンズらの作品が出迎える。『瀬戸内国際芸術祭』をきっかけに移住した人のおかげで休校になっていた学校が復活したという奇跡の島。
記事一番上の写真は男木港周辺の風景。左に写っているカラフルな建物は現役の漁業倉庫で、眞壁陸二による《漣の家》。作者が貼ったカラフルなアクリル板に、島の住民や訪れた人がワークショップで作った板が加えられている。
男木島へのアクセスは「高松 – 女木島 – 男木島」の航路がある。本数に限りがあるため、詳細は公式サイトにてご確認を。
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