消費拡大へ 世界遺産を目指す伝統の「日本の酒造り」 文化庁 3月末にユネスコに提案書【福岡発】
福岡・久留米市の城島地区の蔵開きは、ほろ酔い姿の人であふれかえる。
40の銘柄の新酒を飲み比べできるとあって、毎年10万人もの日本酒ファンが訪れるのだ。
兵庫の灘や京都の伏見などと並ぶ酒どころとして知られる城島。筑後平野でとれたふくよかな米と筑後川の豊かな水を使い、江戸時代に酒造りが始まった。
最も古い蔵は、創業278年の「花の露」だ。江戸時代中期から代々受け継がれてきた伝統的な酒造りを守り続けている。
蔵開きに訪れた女性(60代):
父が昔、こちらのお酒をよく飲んでいて、やっぱり地酒なので、体にすごくなじむ。口当たりはいいし、ほどよい。べたつきがない甘み。飲んだ後に気持ちよく酔えるお酒
その味わいをつくり出すために最も重要なのは、米の糖度を高める工程だ。例えばワインの場合は、原料のブドウがもともと甘いため、糖度を高める必要がないが、日本酒造りでは、味の決め手となる。
そこで欠かせないのが「麹(こうじ)菌」。蒸した米に混ぜ合わせ発酵させることで、米のでんぷんを糖に変化させる。
そして、麹菌の働きを最大限引き出すのが、杜氏や蔵人と呼ばれる職人たち。杜氏たちは、手触りや香りを頼りに米の状態を確かめつつ気温や湿度を考慮し、その日、麹菌が最も活性化する環境を見極め、米の温度などを調整する。
「花の露」冨安拓良社長:
これは数値で表せるようで、すごく表しづらい部分があるんですね。自然と手が覚えている。そういったものはみんなの経験と勘で
この伝統的な酒造りが世界に認知されるかもしれないのだ。
「花の露」冨安拓良社長:
日本酒の伝統的なつくり方がユネスコの世界遺産に認定されるかもしれないというのは、我々にとって非常に朗報でありPRのポイントとして活用していきたいと思っています