「京都市芸大の未来に」卒業生らオークション 収益は移転費用に
美術学部同窓会「象の会」を中心とする実行委員会が卒業生や教員、教員OBらに協力を呼び掛け、319の作家やグループが出品に応じた。会場には絵画から彫刻、工芸、現代美術まで個性豊かな作品439点が並ぶ。
著名な作家の出品も多く、現代美術家の森村泰昌さんと赤松玉女学長が共作した絵画、美術作家やなぎみわさんの版画、染織家で人間国宝の森口邦彦さんが手がけた友禅着物などが展示されている。万葉集研究の第一人者で知られる中西進名誉教授が墨書きした万葉歌三首の色紙や、哲学者の鷲田清一前学長のサイン本なども並び、来場者が吟味した。
市によると、移転の総事業費は約270億円。移転費捻出を目的にしたオークションの開催は2016年以来2回目で、前回は2400万円を超える収益があった。今回は出品作品が100点以上増え、気鋭の若手や中堅作家も多く参加した。
赤松学長は「母校の将来や後輩のために芸術家が力を合わせてくれた。オークションへの参加も新しい美術の楽しみ方の一つで、多くの方に体験してもらえたら」と期待する。
入札は会場で専用用紙に記入するほか、インターネットを通じて特設サイト(http://kyoto-hand-on.com)から参加できる。最低入札価格は1点当たり1万円から。問い合わせは実行委事務局(075・253・1509)。【千葉紀和】