大規模修繕前の三菱一号館美術館で「芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル」が開催
英国人建築家、ジョサイア・コンドルによって設計され、1894年に丸の内初のオフィスビルとして誕生した旧三菱一号館。その建物は老朽化のため1968年に解体されたが、40年あまりの時を経て2009年に復元、翌年、三菱一号館美術館として開館した。同館は2023年4月より、設備入替および建物メンテナンスのため長期休館し、24年度秋頃のリニューアルオープンを目指している。
長期休館前最後の展覧会となるのが「芳幾・芳年─国芳門下の2大ライバル」だ。
落合芳幾と月岡芳年は、江戸後期を代表する浮世絵師、歌川国芳の門下でともに腕を磨き、1866~67(慶応2~3)年には、幕末の風潮を反映した残酷絵を共作。良きライバルとして当時の人気を二分していた。芳幾はその後、発起人として関わった「東京日々新聞」(毎日新聞の前身)の新聞錦絵を描くようになる。
いっぽうの芳年は、国芳から継承した武者絵を展開し、歴史的主題の浮世絵を開拓。人生半ばの30歳前後で明治維新を迎えた2人は、最後の浮世絵師と呼ばれる世代として、浮世絵衰退の時代にあらがうべく闘った。本展は、そんな2人の画業を浅井コレクションをはじめとする貴重な個人コレクションを中心に振り返るものだ。
浮世絵版画のみならず、数多くの肉筆画からも2人の画技を見比べることができる本展。国芳二大弟子のライバル対決から目が離せない。