【独占】〈LINN〉CEOが語る、ジョナサン・アイブがターンテーブルに施した細部の革命。
──ハイファイというとまずスピーカーに目がいくものですよね、自分もそうでしたが。
はい、当時も一般的にはスピーカーこそ最も大事と考えられていました。しかし、それでは良い音を得られなかったので、父はターンテーブルをリビングルームの外に持ち出し、閉まったドアの下に配線を這わしてレコードをかけてみることにしました。すると音質が劇的に改善されました。つまり、スピーカーからの振動をターンテーブルが拾ってしまい、それがフィードバックを生み出していたことがわかったのです。そこで父はターンテーブルの重要性、つまり、振動ノイズの影響を受けないものが必要であるということに気付き、独自のターンテーブル・システムを設計しました。それが〈LINN〉の始まりです。プロトタイプが完成すると、イギリス中のハイファイ・ショップに持ち込み、「このターンテーブルはあらゆるシステムの音質を良くします!」と聴き比べを実施して実証していったのです。このストーリーが「Source First」、すなわち音源に近いものが最も重要であるという私たちの哲学になりました。